予感

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「お前が俺の所に来るのはかなり珍しいな。何の用だ?」 「……イクセン、貴様が何もせずに動かぬのも珍しいな。」 ヴェノムが入口近くの壁にもたれ掛かってそう言うと、イクセンは少しの間を置いて口を開いた。 「どうも俺の旧友が絡んでるみたいでな。下手に動くと狙われるから動けないんだよ。」 「旧友だと?」 「あぁ。七天のリネイシアって奴なんだけどな。こいつがまた強くて強くて……やってられないんだよ。」 嫌そうな様子のイクセンの話を聞いたヴェノムは驚いた様子で目を強く見開き、間髪入れずに言葉を続けた。 「奴を知っているのか?」 「ん?まぁな。お前こそあいつを知ってる口ぶりだな。」 「……何ヶ月か前から何度か会ったことがある。何を考えているからわからない不気味な奴だ。」 リネイシアの心を読むことの出来なかったようなヴェノムの言葉を聞いてイクセンは軽く頷くと、頭をポリポリと掻きながらため息をついた。 「正直な話、あいつの深い部分は俺も知らん。ただ一つ言えることは……異常に強い。俺では勝てないのは間違いない。」 「貴様でもだと……?」 自ら最強を名乗るイクセンが珍しく弱気な発言をしたことに驚いたヴェノムだったが、イクセンは否定することなく頷いた。
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