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「(ったく、どいつもこいつも自由だな……ま、時代が変わったってことか。)」
イクセンは近くの壁にもたれ掛かりつつ座り、右腕に輝く白い腕輪を見つめた。
「(……アーク。カイルの意志は面白い奴に受け継がれてるぞ。カイルと違って単純で、馬鹿みたいに猪突猛進で……自分の気持ちに素直だ。あいつと大違いだろ?)」
カイルとルナの性格の違いが頭の中に浮かんだイクセンは楽しそうに笑っていたが、ゆっくりと俯いてため息をついた。
「でも……可哀相だよな。普通に暮らすことも出来ず……逃げることも許されない戦いに巻き込まれてるんだからよ。なんとか出来ればいいんだが……」
腕輪に語りかけるにイクセンがそう呟くと、イクセンの言葉に反応するかのように腕輪は微弱な輝きを放った。
それを見たイクセンは困ったように笑うと、頭をポリポリと掻きながらゆっくりと立ち上がった。
「まったく……お前が言いたいことはわかってるよ。手伝ってこいって言うんだろ?ちょっと気分は乗らないが、それなりにやってくるさ。カイルの娘を助けにな。」
笑いながらイクセンは軽く腕輪を叩くと、のんびりとした足取りで部屋を去った。
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