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ルナは老人の家に入ると、フロウスを肩に乗せてすぐさま暖炉の前に座り込み、大きく伸びをした。 「んー、暖かい!外寒かったから気持ちいいわー!」 「ほほ……ワシの家に来てそこに座るのは変わらんの。」 「ここはあたしの領地だから仕方ないのよねー。」 肩に乗せているフロウスを撫でながらルナは笑っていたがそれも徐々に静かになっていき、少しの沈黙を経て口を開いた。 「ねぇおじいちゃん。」 「なんじゃ?」 「……十年も経ったんだよね。あの日から。」 ルナは膝を抱えてそう言うと、暖炉の火を見つめながら言葉を続けた。 「ごめんね。勝手に村を出ていってさ。」 「……こうしてルナが生きているのならばワシは何も言わんよ。じゃが……大丈夫か?」 寂しい背中を見つめながら老人がそう聞くと、ルナは振り返ることなく小さく頷いた。 「大丈夫。あの日の事には決着をつけたから……全部終わらせてきたの。」 「そうか。まぁ深くは聞かんよ。ルナにも話したくないことの一つや二つはあるじゃろうからな。」 「……ありがと、おじいちゃん。」 ルナは背を向けたまま老人に礼を言い、フロウスを肩から降ろして抱え、ゆっくりと振り返った。
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