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城内に入ると、キノは直ぐに、水色の日傘をさし、日傘を肩と首で抑えエルメスを日陰に運ぶ。
城内は色とりどりの日傘であふれていた。
しかし、キノに話しかけようとする人は誰もいない。
寄り付きさえもしない。
「暑い………」
エルメスが呟く。
「日陰にいても汗が垂れるよ」
キノは手の甲で額の汗を拭う。
「キノ、日焼け止めクリーム、塗らなくていいの?」
「……忘れてた」
キノが大急ぎでビンを開けると、どこかの国で嗅いだことのあるような海の匂いがした。
日焼け止めクリームを肌の露出した所に塗り付ける。
「エルメスも塗る?」
「錆びるよ」
即答するエルメス。
「じゃあ…いいや…」
キノは言った。
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