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そう答える前に、彼女がほんのわずかに戸惑ったように見えたのは気のせいではない。
本来なら深く追求すべきであったが、今の彼女の精神状態を考え、この事については保留ということにした。
「…まったくもって面倒臭い事件になりそうだ」
病院を出た大澤はポケットからタバコを取り出しながら呟いた。
見上げると、昨日の記録的な大雨が嘘に思える程晴れ渡った空が、どこまでも続いている。
その青い空を、一匹のアゲハ蝶がヒラヒラと気持ち良さそうに舞っていた……――
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