プロローグ

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「そんなところで寝てたら、風邪引いちゃうよ?」    そう言いながら父の肩を揺すろうとして、生暖かいヌルヌルしたものに手が触れた。驚いて思わず手を引っ込めると、手のひらにベットリと何かが付いていた。 それは、ソファーや絨毯を美しい赤に染め上げている。    真っ赤なそれが血だと認識した瞬間、身体中が小刻みに震え、部屋中に自分の悲鳴が響き渡った。    外は、まるで嵐のように荒れ狂っているのに、耳には何の音も入ってこない。 目の前に広がる光景が悪夢のように頭の中でぐるぐると渦を巻いているだけ。    そんな中で、身体は無意識のうちに台所へと向かっていた。
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