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窓から差し込む穏やかな陽光。午睡をするのにちょうど良いとばかりに、寝台に寝転がる。
特にすることもなく、気だるい昼下がりをやり過ごせば、夜の帳が優しく迎えてくれるはずだった。
微睡みに身を委ねようとしたその時に、頭をガッシリと鷲掴みにされた。
「んぁっ!?、なんだよっ、いてぇなぁ~」
慌てて起き上がり、頭を擦りつつ掴んだ張本人(?)を睨み付ける。
〈客が来たぞ…〉
寝台の木枠に留まり声ならぬ声でそう告げたのは木菟だった。
「客~?」
あから様に[めんどくさい]と褐色の瞳に宿らせて、窓の外に視線を向ける。
〈そんなに嫌そうな顔をするな…〉
木菟の苦笑まじりの言葉にふてくされ気味に応える。
「名が売れてるのは悪いとは言わないけどさ、ちまちました依頼なんかやってられっかっ」
枕元に居る木菟に背を向けて寝転がる。
実際、噂につられた好奇心だけの依頼人にはウンザリしていた。
大したこともない占いをやってくれと押し掛けてくるのだ。
やれ、恋人が現れるのはいつで?容姿は?なんたらかんたら…キリがない。
かと思えば、大金持ちになれるか、金を儲けるにはどうすればいいのか?等々…
確かに、そういった簡単な占いを生業にしている同業者もいるのだが…
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