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(それにしても…)
お湯が沸くまで、まだ少々時間がかかる。さっき玄関で対面した時に感じた引っかかりが何だったのか考えてみる。
見た目はそんなに悪くなかった。おそらく遠くから訪ねて来たのだろう、旅装束に長い杖を持っていた。
(杖…?)
確かに長い旅をする者は、杖を持つことがある。しかし、彼はまだ二十代半ばぐらいに見えた。普通なら杖は持たない。
(あの杖…)
旅の道連れにするにしては、綺麗な装飾を施されていた。つまり、ついて歩くのが目的の代物では無い可能性がある。
(何者だろう……何を探してるんだろう……)
〈お湯が沸いとるぞ〉
木菟が思考を遮った。
「おわっ!、アチチッ!」
すっかり沸騰してしまったお湯があふれていた。
〈やれやれ……〉
木菟が世話が焼けるとでも言いたげに頭を振った。
沸騰し過ぎたお湯では、茶葉が煮えて、お茶の味が落ちるため、少し冷めるのを待つ。
立ち昇る湯気をボンヤリ見つめつつ考え込む。
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