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─…ある日の休日。
びりびりと膝の重みに脚が痺れを訴える。
「………支葵」
「ん………」
「足痺れた,どいて」
膝に頭を乗せ眠る人物を少し揺さぶり起こそうと試みるが,二 ,三度唸っただけで起きようとはしない。
読んでいた本の角で頭を殴ってやろうかとも思ったが,彼の性格から考えて無駄だと判断し止めた。
仕方が無く莉磨は再び本に目を戻しページを捲る。
「………あ」
ぴっ,と人差し指に赤いラインが走る。
切れたらしい。
たまに紙はとても鋭利な刃物になる。
もったいない,とぼんやり色んなことを思いながら切れた指を口元に持っていく。
が,それは下から伸びた手によって阻まれた。
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