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「……例の計画は進んでいるか?」
薄暗い部屋の中で大きな椅子に座った男が自分の側近に背中を向けたまま聞く。
「あぁ。着々と準備が進んでるよ。楽しい楽しいお祭りのね」
側近はどうやら男と敬語なしで話せる人物らしく、男に近づいてゆく。
男はくるりと椅子を回転させ側近と向き合った。
「エレバニア……か。まさかあんなところに我々が求めているモノがあるとはな」
男は口角を少しあげる。
「まぁ、宝は見つかりにくい所にある方が探しがいがあるからね」
側近は目の前にある机の上に広げられた地図を見つめた。
「これが、縁の下の力持ちっていうのかねぇ」
男と側近の視線が一点で交わる。
「バレたら今までの計画全部パーになるよ」
「心配するな。なんせ2つもフェイクを仕掛けてある。計画が露見するなどあり得ん。それに駒はまだある。抜かりはない」
男は側近を見つめ話す。
「そうか。じゃあ出番になるまで俺はお祭りの醍醐味、金魚すくいでもしてくるよ」
そういって側近は男がいる部屋を後にした。
「……もう無限のフォトンは我が手中にあるも同然」
そう呟いたあと男は低く太い笑い声を薄暗い部屋に響かせた。
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