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「リックス~!」
トールの街の小高い丘で、鮮やかな青色のショートヘアを吹いてくる心地よい風に任せていたリックスという少年は名前を呼ばれ振り向く。
「エミレス。どうしたの?」
少し丸めのリックスの茶色の双眸が捉えたエミレスと呼ばれた少女は、腰くらいまではあろうかという茶色に近い赤髪のツインテールを揺らて、リックスの元まで走っていき、少し息を整えながら、
「クロねぇが二人でギルドに来なさいって」
という。それを聞いたリックスはエミレスを見て、小さく笑ってから優しく頷いた。
「それって、今すぐに?」
エミレスが息を整えたのを確認したあとリックスが聞くと、彼女は首を横に振った。
「ううん。お昼食べてからでいい、だって」
リックスはそっか、と言うと、先ほどよりさらに柔らかく吹く風に青に近い色で出来たTシャツの上に着た深い緑のベストをなびかせながら、
「じゃあ今からお昼食べにいこうか?」
と笑顔でエミレスに聞く。
「そうね。いきましょっか!」
エミレスは笑顔で答える。身長差がほとんどない二人は並んで丘をあとにし、目の前に広がるにぎやかなトールの街に向かって歩き始めた。
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