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昼ご飯を食べ終えた二人は自分達の姉貴分でもあり教官でもあるクローナ・スバッツ──エミレスとリックスはクロねぇと呼んでいる──に言われた通りギルドに来た。
「あら、少し遅かったんじゃない?」
少し黒めの肌と他人の目を惹き付けるようなグラマーなスタイル。
それを惜し気もなく大胆に露出した民族衣装のような服。
肌の色とは対照的に明るい水色の目を持ち、三つ編みにした銀髪が印象的なクローナがそういうと、リックスは呆れた顔をして話しだす。
「聞いてよクロねぇ。エミレスってば、久しぶりの外食だってはしゃいじゃっていつもよりたくさん食べたんだよ。もぅそのおかげでこっちは──」
リックスが言葉をいい終わらないうちにエミレスが勢いよく口を挟んだ。
「な、なによ!リックスだってメニュー選ぶのにすっごく時間かけてたじゃない!」
そう言い合う二人は記憶を読み返す中で例のスシを思い出して動きを止める。
「二人とも、どうしたの?」
クローナが不思議そうに聞くとエミレスが答えた。
「あのね、そのレストランでスシっていう料理を食べたの。おいしかったんだけどね、私たち、そのスシが出てくるまで、それをどんでもなくデカイものだと思ってたの」
真剣に話すエミレスの話を聞いたクローナは思わず吹き出した。
「えっ?もしかしてクロねぇも知ってたの?」
そう聞いたエミレスにクローナは笑いをこらえながら、
「知ってるも何もスシって有名な東国料理じゃないの」
と答えた。二人は目を丸くする。
「えっ?知らなかったの?スシなんて代表的よ。……コホン。それは置いといて、今日は二人に大切な話があるの」
エミレスとリックスは先程までスシで盛り上がっていたのが嘘だったかのように、
「「大切な話?」」
と静かに聞き返した。
クローナはそう、といって頷きながら、ギルド内を歩き始めた。
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