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車の中で、戒はすやすやと寝息をたてて眠っていた。
ホント、無防備だな(笑)。
俺が悪いヤツだったらどうするつもりだったんだろうか。
だが、安心してもらえてるっていうのはなかなか嬉しいもんだけどな。
家に着くまでゆっくり寝かせてやらなきゃな。
そう思い、いつも以上にゆっくりと安全運転で家に戻った。
家に戻ったが、戒は一向に起きようとしない。
あまりに気持ち良さそうなんで起こすのを止め、俺は戒を抱いた。いわゆる姫抱っこみたいにしてだ。
すたすたすた。
玄関まで足早に行くと、兄貴が待っていた。
帰ってたのかよ。
「おかえり、炎。」
『ただいま、兄貴。』
うわ、こりゃスゲェ照れちまうんだが。
そんな俺の心情を察したのか兄貴は笑う。
クスクス。
「早くお入り。戒君はぐっすりだね。」
戒の顔を楽しそうに覗きこむ。
『兄貴…。』
何て声を掛けたらいいんだ。
わかんねぇ。
でも、これだけは言わないと。
『ありがとうな。』
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