第1章

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 ピピピ。ピピピ。ピピピ。  目覚ましが鳴り続けている。しかもこの目覚ましは止めなければどんどん音量が上がる高性能目覚ましだ。  うざったい。素直な感想を言えばこうだ。起こしてくれるのはありがたいが、さすがにイラつく部分もある。  俺は眠いのを我慢し、重くもないが軽くもない掛け布団を持ち上げ、体を起こすと、目覚ましのボタンを平手打ちで押す。  自分の任務を果たした目覚まし時計は、そのまま眠りについた。  朝だ。雀が鳴いている。  俺は今日バイトだ。こんなボロっちいアパートでも、この東京はめちゃくちゃ高い。俺の故郷では、この家賃なら高層マンションに暮らせる程だ。そんな金のために二つもバイトを掛け持ちしている。時々馬鹿馬鹿しくなる。
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