第1章

9/20
前へ
/45ページ
次へ
 俺は通話ボタンを押すと、剛ははぁはぁと息が荒くなっていた。 「どうした?剛?」 「お前、一体何したんだよ?」  剛もあれを見たのか。 「わかんねえよ」  俺は何もかもわからなかった。なんで狙われたのかもわからない。まず、俺が命を狙われてるのも信じられないのに…。 「とりあえず、お前、外に出るなよ」 「ああ」 「なんか食うもん必要だよな。買ってきてやるよ」 「わるい、頼むわ」 「あいよ」  剛から電話を切ったのか、俺の受話口からツーツーと聞こえる。  剛はお人好しだが、何かと頼りになる。小学校の頃から仲良かったが、バレンタインのチョコの数は大差で剛が勝つし、クラスの女子に俺と剛が仲良いのは不思議だと言われた事もある。剛はそんな奴だ。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加