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「ううぅ……」
情けない声を出しているのはアラウである。
人型になった彼は、今はちゃんと服を着ている。
成人を表す黒い絹に、飾り紐を腰に巻いた格好だ。
人型のアラウはやんちゃな少年だった。
手足はよく日に焼け、しなやかな筋肉がついている。
赤毛はあちこちに跳ね、金の瞳は大きくて良く動く。
アラウもキイも魔狼族である。
男は狼と人の二つの姿を持ち、女を護る。
女は狼にはなれないが、神々しい美しさを誇る。
魔狼族の住む森は神聖な場所とされ、人間たちは立ち入らない。
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