序章

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暗い空間がある 真っ暗と言っても過言では無いというぐらいの闇だ その闇の中うっすら光る繭のような塊がある 塊の周りにはワイヤーのように太い縄状のものによって固定され、塊自体はびくりとも動かない。 暗い空間でもそれだけははっきりと見えていた。   ギチギチ…   紐を引っ張った時のような音がする   ビンッ   塊を固定していたワイヤー状の紐が一本切れた   ギチギチ…   他の紐も同様に引っ張られているようで不快な音が暗い空間を埋め尽くしている。 その様子をさも楽しそうに見る者が居る。 全身に真っ赤なフードを顔まで被りその表情はわからないが背格好から初老の男のようにうかがえた 「あと少しか…」 不快な音に混じってその初老の男が発したと思われる声が響く 誰に言った訳でもないその声は周りの音にかき消されれまた不快な音だけが空間を満たした
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