七色の月

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『もう、だめ…か…』咲の意識が、遠のいた瞬間、体中から、青い炎が溢れだし、黒い物体を燃やし始めた。 『うがぁぁぁぁぁっ!貴様ぁぁぁっ!』炎の青が増し、跡形もなく、黒い物体は消滅した。 黒く焦げた畑に、咲の体は、放り出された。 『………雨…』 体を打つ冷たい雨で、目を覚ますと、目の前にある光景が、先程の出来事が夢ではない事を、分からせた。 焦げた大木の前には、無残な父母の亡骸が、周りに居るはずの村人も、花を咲かせていた作物もなく、生気の感じる者は、何一つない。 降り続く雨の中、咲は、あの鍬で大木の根元に父母の亡骸を埋葬した。 手向ける花もなく、母から貰った髪飾りを供えると、咲は『力…青い炎…私は、これからどこに行けばよいのだろう…』と、父母らの傍で、途方に暮れるのであった。
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