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金髪の青年は、悠稀を見ていた顔をゆっくり下に下げた。
その視線の先には、べっとりと汚れた制服のブレザーがあった。
「……お前」
漆黒の瞳が悠稀に向けられる。
その中にある、暗い怒りを敏感に感じて、悠稀は震えた。
「あ、あの…」
「……決めた」
悠稀の言葉を遮って、にやりと笑う。
「お前、俺の玩具な」
そう聞こえた瞬間、腹部に青年の拳がめり込む。
「う…げほっ!」
崩れ落ちる悠稀を冷たい目で見ながら、青年は声をかける。
「俺に、上野大樹に喧嘩売ったんだ。これくらい、当然だろ」
悠稀が見上げたその顔は、完全に見下して楽しんでいる顔だった。
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