02

4/10

2034人が本棚に入れています
本棚に追加
/373ページ
金髪の青年は、悠稀を見ていた顔をゆっくり下に下げた。 その視線の先には、べっとりと汚れた制服のブレザーがあった。 「……お前」 漆黒の瞳が悠稀に向けられる。 その中にある、暗い怒りを敏感に感じて、悠稀は震えた。 「あ、あの…」 「……決めた」 悠稀の言葉を遮って、にやりと笑う。 「お前、俺の玩具な」 そう聞こえた瞬間、腹部に青年の拳がめり込む。 「う…げほっ!」 崩れ落ちる悠稀を冷たい目で見ながら、青年は声をかける。 「俺に、上野大樹に喧嘩売ったんだ。これくらい、当然だろ」 悠稀が見上げたその顔は、完全に見下して楽しんでいる顔だった。
/373ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2034人が本棚に入れています
本棚に追加