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図書室は、静かだった。 周りの騒がしい雰囲気など全く関係ないとでもいうかのように、静かで落ち着く雰囲気を醸し出している。 本の匂いに包まれて、悠稀はようやく息をついた。 ぐちゃぐちゃになった髪を手櫛でとくと、すぐに真っ直ぐの自慢の髪に戻る。 三つ編みにする気力がないのでそのままにし、ゆっくりと図書室の奥に足を向ける。 「………落ち着く」 ぽつりと、小さく呟いたが、静かな図書室では思いの外響いてしまった。 「それは嬉しいが、ここは俺の場所だ」 はっとして前を見ると、一人の青年が無表情で悠稀を見ていた。 夜色の少し長い髪に、上野より濃くて深い、漆黒の瞳。 一目で惹かれるような、綺麗な顔だ。
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