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「……はぁ」
悠稀は、疲れたように教室の天井を見上げてため息をついた。
やっと全ての授業が終わったからじゃない。
今日は、いろいろありすぎたのだ。
久しぶりに紘子と話せて、大樹や悠紫に庇ってもらえた事はとても嬉しい。
だが、水綺と大樹は合わないようで、会う度に喧嘩になりかけていた。
「悠稀、一緒に帰りましょう」
そんな悠稀に近付いてきたのは、紘子だ。
「そうね、久しぶりに一緒に帰りたいわ」
その誘いを、悠稀はすぐに受ける。
と、教室の扉が勢いよく開けられた。
二人が同時に扉を見ると、大樹と悠紫が立っていた。
「二人とも、どうしたんですか?」
紘子が問い掛ける。大樹と悠紫は顔を見合わせ、軽く微笑む。
「田之上の護衛。また、あのストーカーが来るかもしれねぇし」
はっと悠稀が慶輔の机に視線を向ける。
今日、慶輔は休みだった。
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