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「来いよ、ストーカー野郎」
にやっと笑い、徹斗が挑発する。
興奮している慶輔には、挑発が1番効果的なのだ。
「ふざけるな、この野郎!」
かっとなった慶輔は、がむしゃらに徹斗の方へ突っ込んでいく。
がむしゃらな攻撃は、1番避けやすいのだ。
徹斗はひょいと避けると、竹刀でナイフを持っている手を殴る。
「ぐぅ!」
苦痛な声をあげてナイフを落とした慶輔のがら空きの腹を、竹刀で思いきり突く。
「がはっ!」
もろで喰らった慶輔は、腹を押さえてその場で嘔吐する。
悠稀や紘子の息を呑む音が聞こえ、半泣きのまま慶輔は顔をあげる。
視線の先にいた悠稀は、嘔吐した慶輔を軽蔑するような顔だった。
慶輔の頬を涙が伝い、手を握りしめる。
よりによって、自分の想いを寄せている人の前で嘔吐するなんて。
慶輔の自分自身にたいする怒りは、こうなる原因となった徹斗に向かう。
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