2034人が本棚に入れています
本棚に追加
「…殺してやる!」
そう叫ぶと同時に、慶輔は悠稀と紘子に向かって走り出す。
いきなりの事で身動きの取れない悠稀と紘子。
慶輔は、紘子の腕を掴んで自分に引き寄せる。
「動くな」
紘子の首にナイフを突き付けて、慶輔は徹斗の方を向く。
「その竹刀を置け。抵抗したら、こいつ殺す」
突き付けたナイフを見せびらかす様に動かす。
「くそっ!」
徹斗は抵抗する事もせず、悔しそうに竹刀を地面に置く。
「よし、そのまま…」
「ねぇ」
慶輔の声に被せるように聞こえてきたのは、悠稀の声。
「あなた、私を狙ってるんでしょう?なんで他の人まで巻き込むの」
悠稀は、とりあえず慶輔の気を引きたかった。
慶輔の気がそれたら、後は紘子がなんとかするから。
慶輔は、悠稀が話しかけてきたので上機嫌だ。
「待ってて悠稀ちゃん。すぐに君を殺してあげるから」
ナイフを目の前まで持ってきて、慶輔は笑う。
その瞬間、悠稀はふっと小さい笑みを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!