17

12/19
前へ
/373ページ
次へ
「…殺してやる!」 そう叫ぶと同時に、慶輔は悠稀と紘子に向かって走り出す。 いきなりの事で身動きの取れない悠稀と紘子。 慶輔は、紘子の腕を掴んで自分に引き寄せる。 「動くな」 紘子の首にナイフを突き付けて、慶輔は徹斗の方を向く。 「その竹刀を置け。抵抗したら、こいつ殺す」 突き付けたナイフを見せびらかす様に動かす。 「くそっ!」 徹斗は抵抗する事もせず、悔しそうに竹刀を地面に置く。 「よし、そのまま…」 「ねぇ」 慶輔の声に被せるように聞こえてきたのは、悠稀の声。 「あなた、私を狙ってるんでしょう?なんで他の人まで巻き込むの」 悠稀は、とりあえず慶輔の気を引きたかった。 慶輔の気がそれたら、後は紘子がなんとかするから。 慶輔は、悠稀が話しかけてきたので上機嫌だ。 「待ってて悠稀ちゃん。すぐに君を殺してあげるから」 ナイフを目の前まで持ってきて、慶輔は笑う。 その瞬間、悠稀はふっと小さい笑みを浮かべた。
/373ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2034人が本棚に入れています
本棚に追加