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「悠稀、俺はただ悠稀が心配なだけだ。だから、悠稀に呼ばれてないのに門で待ってたんだぞ」 悠稀のすぐ側まで行って、徹斗は優しく頭を撫でる。 「お前は人に頼る事を覚えた方がいい。悠稀の側には、ちゃんとお前の我が儘を受け止めてくれる人はいるんだ」 悠紫がうっすらと笑いながら言う。 紘子や大樹も、悠稀の顔を見ながら頷く。 こういうふとした瞬間に、自分は幸せなんだと感じる事がある。 前まで虐められていたのに、今はとても幸せだ。 徹斗がいて、紘子がいて。大樹だって謝ってくれたし、なにより自分の側にいてほしいと願う悠紫が、側にいてくれる。 「ありがとう」 心からのありがとうを伝えよう。自分の感じている幸せと共に。 その思いが伝わったのか、皆柔らかい笑みを浮かべている。 「ありがとう」 もう一度、どうしても伝えたくて、悠稀は満面の笑みと共に言う。 見慣れた紘子と徹斗には普通だが、見慣れない二人には不意打ちだった。 大樹はもちろん、悠紫までもが真っ赤になる。 それを見た徹斗は、むっとしたように悠稀を正面から抱きしめる。
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