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「徹?」 「悠稀、そういう顔は俺にだけ見せて欲しいんだけど」 拗ねたように口を尖らせている徹斗に、悠稀はくすくす笑う。 「何言ってるの。あなたが1番見てるでしょう」 徹斗の言葉を軽く流す悠稀。徹斗は内心がくっと肩を落とす。 「…まぁ、これが悠稀だよなぁ」 複雑そうな表情のまま、徹斗は悠稀を抱きしめ続ける。 と、いきなり襟首を掴まれて後ろに引っ張られる。 「ぐぇ!?な、誰だよ!」 慌てて後ろを振り向くと、徹斗の後ろには悠紫の姿。 その手は、しっかり徹斗の襟首を掴んでいる。 「……何?」 「くっつくな」 襟首を離しながら、悠紫が言う。 徹斗の素っ気ない言葉以上に素っ気ない、悠紫の言葉。 一瞬目を見開いた徹斗だが、すぐににやりとした笑みを浮かべる。 「い・や・だ。悠稀に抱き着けるのは俺の特権だし」 また、ぎゅっと悠稀に抱き着く。 悠稀は悠稀で、くすくす笑うだけで嫌がるそぶりを見せない。
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