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「ほら、悠稀嫌がってないだろ」 「嫌じゃないけど、ちょっと動きにくいわ」 徹斗は悠紫に向かってベーッと舌を出す。 悠紫は何も言わなかったが、眉をしかめている。 悠稀は楽しそうに二人を見ながら、さりげなく徹斗の腕をといた。 「ほら、帰りましょう」 悠稀が抜け出したのを見て、紘子が徹斗と悠紫の間に割って入る。 「邪魔するなよ、立花」 「悠稀を帰すのが先。喧嘩なら、それが終わってからにしなさい」 紘子の呆れた声を聞いて、悠稀は視線を紘子に向けて微笑む。 「ここでいいわ。どうせ、家はすぐそこだもの」 悠稀の言葉に、紘子は口を尖らせる。 「……久しぶりに悠稀の家に行けると思ったのに」 「ごめんなさい。でも、もう大丈夫よ」 これ以上言っても、悠稀は折れるつもりはないようだ。 小さくため息をつくと、紘子は悠紫と大樹の腕を掴む。 「分かったわ。出水にちゃんと守ってもらうのよ!」 「えぇ。三人ともありがとう」 悠稀の微笑を見ながら、三人は悠稀と徹斗に背を向けて歩いて行く。
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