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図書室に、静かな気配が戻ってきた。 悠稀は、口元にある絆創膏に触れながら、小さく呟く。 「……変な人」 彼は、あの人は、とても変な人だ。 私を、虐められている悠稀と分かって優しくしているなんて。 悠稀のこの容姿のおかげで、大体の男子は悠稀に優しい。 だが、この学校では悠稀はただの地味な少女で、しかも大樹の玩具扱いだ。 そうと分かっているのに優しくするなんて、変としか思えない。 「………」 信じてもいいのだろうか。 一瞬浮かんだ考えを、悠稀はすぐに追い払う。 駄目、だ。あの人は、上野の親友。油断は禁物なんだ。 ふと、手に握りしめていたハンカチに目を落とす。 「騙されない。騙されて、たまるもんか」 静かな図書室の雰囲気に包まれて、悠稀はいつの間にか悠紫が座っていたソファーで眠りについた。
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