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「やっぱいいや。今ので分かるから」
苦笑をしながら、徹斗はぽんぽんと悠稀の頭を叩く。
悠稀は真っ赤な顔をしているが、徹斗にからかわれたと思ったのか拗ねたように唇を尖らせる。
「徹！あまり人をからかわないで」
「……からかってないよ」
急に、徹斗が真顔になる。
いきなり表情が変わった徹斗に驚いて、悠稀は息を呑む。
「俺は、悠稀の事ならなんでも知りたい」
それが悠稀の好きな人についてだとしても、悠稀の事を知れるなら。
「俺は、嬉しいから」
徹斗の悲しそうな笑みに、悠稀の胸が締め付けられる。
「ねぇ、徹」
どうして？どうしてそんなに悲しそうな顔をするのだろう。
どうして、あなたは。
「そんなに私を思ってくれるの？」
悠稀の問い掛けに、徹斗は当然のように答える。
「それは、悠稀が大事だからだよ。ずっと一緒にいたから」
小さい時からずっと、一緒にいたから。
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