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ずっと一緒にいたから、こんなに近付きすぎたのだ。
血の繋がっていない双子みたいに、互いの事はなんでも分かる。
なのに、悠稀は徹斗の本心を分かってくれない。
1番気付いて欲しい思いに、気付いてくれないのだ。
「まぁいいや。悠稀、俺今日もソファー?」
「だってソファーしかないもの。嫌ならお母さんから布団もらってきましょうか?」
悠稀の申し出に、嫌じゃないと答えてから徹斗はソファーにダイブする。
ふわりと香る悠稀の匂いに混じっている、悠紫の香り。
だが、今は気にしないようにしよう。
「最近、矢神先輩来てないだろ」
「えぇ。最近はまた徹が来てくれるようになったから、呼んでないわ」
嬉しそうな声を聞いて、自分はやっぱり1番悠稀の側にいるんだと感じる。
こうなったら、ほとんど来よう。
そして、悠稀の部屋から香る悠紫の匂いを、自分の匂いで消し去ろう。
そう考えて、徹斗は少しだけ笑った。
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