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「まだ起きとく。久しぶりに悠稀ん家来たのに」
「あら、また来ればいいじゃない。頻繁に来てくれるんでしょ?」
悪戯っぽく笑う悠稀。徹斗の好きな表情の一つだ。
いつもすぐ側で、いろいろな表情を見れる。それも、自分だけの特権だ。
「……ん~」
半分寝ぼけているような徹斗の腕から抜け出して、悠稀は布団を徹斗にかける。
「おやすみなさい。いい夢を」
そう言うと、今では完全に夢の中の徹斗の額に口付ける。
小さい時からずっと続けている、いい夢を見るための呪い(まじない)。
悪夢を見やすい徹斗が、悪夢を見なくて済むように。
悠稀が考えついた、幼い頃のお呪い。
徹斗いわく、不思議とこの呪いをすると悪夢を見なくなるらしい。
だから悠稀は、高校生になった今も徹斗が泊まるたびに行っている。
もちろん、今も続いている事を徹斗は全く気付いていないが。
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