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会う時間は確かに減った。
だが、二人きりで会えなくても皆と一緒に居られる。
どちらとも、悠紫にとっては掛け替えのない時間だった。
「最近は全くないのか?」
「えぇ。上野先輩や紘子達と一緒に居るから、もう全然大丈夫」
本当に嬉しそうに笑う悠稀。
悠紫はただ、そんな悠稀を見ているのが好きだった。
悠稀の笑顔は、自然と疲れた心を癒してくれる。
そんな笑顔を近くで見れる事が、堪らなく嬉しいのだ。
「悠稀、今日はずっと一緒に居られるか?」
悠紫の問いに、悠稀は本当に不思議がるような表情で首を傾げる。
「何を言ってるのよ。いつも一緒に居るでしょう?」
くすくすと、楽しそうに笑う悠稀。
悠紫は、少し不機嫌そうな表情を浮かべている。
悠紫が言った言葉と、悠稀が理解した言葉は意味が違うのだ。
悠紫は、ずっと二人きりで居られるのかと聞いたつもりなのに、悠稀がとった意味は皆で一緒に居られるかだったようだ。
伝えたいのに伝わらない事が、とてももどかしい。
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