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ふと、眠っているソファーが少し沈んだ気がした。
その違和感に、今まで気持ち良く眠りについていた悠稀は目を覚ました。
「……んぁ?」
「お前、よくこんなとこで寝れるなぁ」
小さく訳の分からない声を上げた悠稀に、呆れたような声が上から降ってくる。
寝ぼけ眼のまま、ふと上を見る。
その視線の先にあった、深く静かな漆黒の瞳。
それを見て、悠稀の意識が次第にはっきりしていく。
「矢神、先輩」
悠稀のすぐ横に腰掛けている、ついさっき出ていった筈の悠紫がそこにいた。
「あなた、さっき出ていってた…」
「何時間前の話しだよ」
何時間前。その言葉に引っ掛かりを覚えて携帯を見る。
「……嘘」
携帯は、悠稀が記憶している時間の、2時間後を指していた。
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