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大樹は、とにかく分かりやすい。 今の反応だって、あからさまに自分が悠稀に想いを寄せていると言っているようなものだ。 自分に素直なのはいい事だとは思うが、流石にあれでは周りにバレバレだと思うのだが。 「素直すぎるのも、な」 考えものなのかもしれない。 悠紫は小さく呟いて、苦笑する。 そのぶん自分は、全く周りからはばれないだろう。 感情を隠すのが得意だから、絶対に気付かれていない、と思うのだが。 一人だけ、気付かれていたようだ。 自分と似ている、悠稀の片割れには。 似ているからか、彼は悠紫の考えている事がよく分かる。 だから、会えばいつも敵意の篭った目を向けてくるのだろう。 あの目は、どうも苦手だった。 何もかも見透かされているようで、どうしても目を逸らしたくなる。 だが、それすらも許さないような強い眼差しだから、悠紫としてはあまり徹斗に会いたくないのだ。 だが、悠稀の側にいれば嫌でも会ってしまうのだが。
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