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悠稀は悠紫の腰に手を回しながら、じっくり周りを見回していた。
今悠紫と悠稀が走っているのは、自然豊かな道だ。
ここまで来ると、いくら悠稀でもどこに行くのかくらいは分かる。
「悠紫、海についても私水着ないわよ」
「あぁ、じゃあ泳がなければいい」
何のために来たの?という悠稀の問い掛けに、悠紫ほんの少し微笑んで秘密だ、と言う。
悠稀にしたら、早く教えて欲しくてうずうずしているのだが。
しばらく走らして、悠紫はある場所でバイクを止める。
「うわぁ、綺麗」
悠稀が普段来ていた場所と違う、静かな場所。
「俺が見つけた、穴場みたいな感じだ」
ここに連れて来たかったんだ。
悠紫は悠稀の手を取って、ゆっくりと海岸に下りていく。
悠稀は足元に気をつけながら、悠紫に着いて行こうと必死だ。
「早いか?」
ゆっくり歩いていたつもりなのだが、やはり慣れない悠稀にはきついのだろうか。
「平気よ」
だが、悠稀は楽しそうに笑いながら悠紫のすぐ横に来る。
そのまま、同じ速度で海岸まで下りていく。
「凄く静かな場所ね」
誰もいない、ただ波の音が響くだけの場所。
悠稀は、すぐにこの場所が好きになった。
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