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「……悠稀?」 いきなり、後ろから不思議そうな声で話し掛けられた。 振り向いた悠稀の視線の先に居たのは、転校したはずの水綺の姿。 「水綺!どうしてここに?」 悠紫の側から離れ、悠稀は水綺の方に走って行く。 水綺は、自分のすぐ側に来た悠稀に柔らかい笑みを浮かべる。 「祖父の家がこの近くにあるのよ。悠稀、矢神先輩と二人で来たの?」 水綺の問い掛けに、悠稀はほんのり頬を赤らめながら頷く。 「……そう」 水綺の微妙な反応に、悠稀は首を傾げた。 水綺が嫌っているのは大樹だ、悠紫ではない。 なのに、何故こんな微妙な反応をしているのだろう。 「どうしたの?」 悠稀の問いに、水綺は悠稀に話してもいいのかと悩んでいるようだ。 「あのね、驚かないでよ」 しばらくして、やっと言う事にした水綺が口を開く。 「私も人に聞いただけだから、真実かは分からないわ。ただ矢神先輩には、忘れられない人がいるらしいの」 その水綺の言葉に、悠稀の表情が凍り付いた。
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