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「どうして起こしてくれなかったんですか」
少し不機嫌そうな悠稀の言葉に、悠紫は首を傾げる。
「俺は午後の授業を受け終えて、今さっき来たばかりだ」
学校が終わってすぐなので、それは当たり前の事だ。
悠稀はいつもは授業をサボる事がない。
それは、虐めている者達にたいする意地なのに。
寝過ごしたのは、それほど疲れが溜まっているからだった。
「これは、流石にきついわ」
ため息まじりに呟いた言葉に、悠紫が反応する。
「愚痴なら聞くぞ」
「え?」
信じられないという目を向けてくる悠稀に構わず、悠紫は続ける。
「愚痴なら聞くと言ったんだ。大樹に虐められて、弱音を吐かないお前が気に入った」
ふと、悠紫は柔らかい笑みを浮かべる。
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