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着いた後もひたすら無言で。 悠稀が無言に耐え切れなくなって家に戻ろうとした時、徹斗が悠稀の手を掴んで引き止める。 「悠稀、大丈夫?」 心配そうに見てくる徹斗が言っている事は、悠紫に置いていかれた事だろう。 悠稀は作り笑いを浮かべながら、そっと徹斗の手を自分から離す。 「平気よ。今日はありがとう」 徹斗の方を見たくなくて、悠稀は背を向ける。 そうしなければ、泣いてしまいそうだったから。 「……悠稀、次からは俺を呼んで?」 「え?」 後ろを向く事が出来ない悠稀は、背中に温もりを感じて身を強張らせる。 徹斗が、後ろから悠稀を抱きしめているのだ。 「泣き顔、見られたくないんだろ?じゃあこのまま聞いて」 徹斗の優しさが今の悠稀には救いだった。 傷付いている心が、徹斗といると痛みが和らぐ。 こくんと、小さく頷いた悠稀を見て徹斗はそのまま悠稀の肩に顔を乗せる。 「次からどこかに行きたいなら、俺呼んで。俺は絶対、悠稀を置いていったりしないから」 徹斗の腕の力が強くなる。 苦しいはずなのに、何故か心地よささえ感じてしまう徹斗の腕の中で、悠稀は一度頷く。 それを見届けると、徹斗は抱きしめていた腕を解いて悠稀の頭を撫でる。 「よし。んじゃ、俺帰るな」 じゃあ、と手を上げてバイクで走り去る徹斗を見送って、悠稀は家に入る。
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