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図書室に着いた悠紫は、崩れるようにソファーに倒れ込む。
少し仮眠をとらないと、授業なんて受ける気にならない。
そして、眠った後は悠稀に会いに行こうと思う。
うとうとしながらも、悠紫は悠稀にどうやって謝ろうか悩んでいた。
そう考えている間に、悠紫は眠ってしまったようだ。
起きた時には、もう昼になっていた。
「……もう昼、か」
のそのそと起き出して、悠紫は小さく欠伸をする。
「悠紫~」
大樹が、眠そうに図書室に入ってきた。
「ご飯行こうぜ」
「あぁ。お前寝てないのか?」
何回も欠伸をする大樹を見て、悠紫は不思議そうに覗き込む。
大樹は、基本授業が退屈な時は寝ているはず。
なのに、今日の大樹は何故か寝ていない。
「あぁ、寝てたらもし羽都からメールが来てても分からないだろ」
大樹は、たった一人の妹をとても大切にしているのだ。
だから、やっぱり心配なのだろう。
「とりあえず、ご飯に行くか」
悠紫はそこらに放り投げていたかばんを持って、いつも行く屋上に向かった。
「あ、今日は紘子と田之上もいるらしいぞ」
田之上と聞いた瞬間、悠紫の動きが止まる。
「悠紫?」
「悠稀がいるのか?」
会いに行くとは決めていたのに、こんな時に会うなんて。
謝ろうにも謝れない。
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