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放課後、悠紫は図書室でくつろいでいた。 早く悠稀のところに行った方がいいのは分かっているのだが、さっきみたいに逃げられたら辛い。 「……はぁ」 だけど、自分が逃げていたら何も変わらないだろう。 仕方なく、重い体をソファーから持ち上げる。 「ちょっといいですか?」 いきなり、図書室の扉が開いて紘子が顔を出す。 「何だ?」 珍しい来客に、悠紫は首を傾げた。 「いえ、対した用はないんですよ」 そう言うと、紘子は悠紫を通り過ぎて窓の前で立ち止まる。 「あれ、見てほしくて」 紘子が窓の外を指差しているので、悠紫も側に行く。 そして窓の外を覗いた瞬間、ぴたりと固まった。 「分かった?あなたがいなくても、悠稀を気にする人はいるの」 悠紫と紘子の視線の先には、悠稀と徹斗がいる。 さらさらの悠稀の髪を撫でている徹斗と、嫌がっているそぶりを見せるが笑顔の悠稀。 「悠稀?」 悠稀の頬がうっすら赤くなっているのに気付いて、悠紫は驚く。 「あの後、全部悠稀から聞きました。傷付いていた悠稀を慰めたのは、出水ですよ」 傷付いていた悠稀を支えたから、悠稀は少なからず徹斗の事を意識しだした。 そう言われて、だから悠稀の頬が赤かったのかと考える自分に驚く。 こんな時、自分はこんなにも冷静なのだ。
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