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やっぱり、自分は誰かと歩む事なんて出来ないのか。
こうやって、大切にしたかった人達が、誰かの隣で笑っているのを見るしか出来ない。
「また、明日だな」
謝るのは、明日に持ち越しだ。
悠稀が帰ってしまった今、悠紫には学校にいる理由はない。
今から、また羽都を探しに行こう。
「立花」
急に名前を呼ばれて、紘子は悠紫に視線を向ける。
「学校では悠稀、外では羽都。それじゃ駄目なんだろ?なら俺は、羽都をとる」
悠紫の答えを聞いて、紘子は悲しそうに目を伏せた。
だが、すぐに睨むような鋭い眼差しで悠紫を見据える。
「それが答え?」
「あぁ」
「なら、あなたは不合格だわ」
いきなりの紘子の言葉に、悠紫は怪訝そうに眉を寄せる。
「不合格?」
「えぇ。悠稀の側にいる資格がないって事。みんな悠稀が大切なの、あなたが側にいたら悠稀が傷付く」
「なんでお前がそんな事決めるんだ?」
悠紫の問い掛けに、紘子はため息をつく。
「出水と同じね。違うのは、悠稀を思っているかいないか」
「俺だって、悠稀が大事だ」
心外だと言わんばかりに睨んでくる悠紫。
「嘘ね。だって、本当なら婚約者のいるあの子なんかより、悠稀を選ぶわ」
紘子の言葉は正しくて、悠紫は何も言えなくなる。
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