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悠稀は徹斗と二人で帰っていた。 悠紫とは違い、徹斗は話す事が得意なため、無言なんて全くない。 「……悠稀、聞いてる?」 徹斗が心配そうに覗き込んでくる。 それに気付いて、悠稀は愛想笑いをしながら頷いた。 どうしてだろう。楽しいはずなのに、何故か頭の中は悠紫でいっぱい。 今日謝られた時だって、本当は嬉しかったのに。 どうして、あんな態度をとってしまったのだろう。 聞いていると頷いたくせに、心ここにあらずの悠稀を見て、徹斗はため息を吐く。 駄目だ。今の悠稀には何を言っても無駄な事を、徹斗は知っている。 だから、そっとしておくのが1番だ。 悠稀と徹斗は無言のまま、いつも二人が話している公園にたどり着く。 と、一人の少女がブランコに乗って泣いているのを見て、悠稀が近付く。 「どうかした?」 見たところ、自分より2歳ほど年下なのだろう。 ふわふわした髪の毛が愛らしい少女だ。 「人を、探してるんです。でも、その人の家がわからなくて」 涙で濡れた大きな目が、不安そうに揺れる。 「……とりあえず、家においで。ここにいるのも大変よ」 彼女の服や肌の汚れに気付いて、悠稀は出来るだけ優しく言う。 すると、少女は疑う事もなく頷いた。 「徹も、行くわよ」 ぐいぐい徹斗の腕を引っ張りながら、悠稀が歩き出す。
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