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「俺、あんな感じ?」 徹斗の問い掛けに、悠稀はふわりと笑う。 「そうね、いつもあんな感じよ」 二人の会話を申し訳なさそうに顔を伏せながら聞いていた少女は、ふと顔をあげる。 「あの、ご飯までご馳走になってなんですが、私を泊めてもらえませんか?」 「え、泊める?」 無言で何故と問い掛けてくる悠稀を見て、少女ははっきり言葉を紡ぐ。 「実は私、今家出中なんです。だから、泊まる場所がなくて。お願いします!」 「泊まる理由はわかったわ。なんで家出なんて?」 悠稀の最もな質問に、彼女の顔に苦笑が浮かぶ。 「親や家族と合わないのが一つです。でも、やっぱり1番は会いたい人を捜すためですね」 少女のはっきりとした物言いは、全く自らの行いに後悔がない事の現れだ。 周りに迷惑をかけてもいい。ただ、自分の思うがままの行動に出たい。 それが、今の少女を突き動かしているのだろう。 「いいわ、泊めてあげる。ここに布団を敷いて寝てね」 布団は和室の押し入れに、自分と徹斗は上にいる。 そこまで言うと、悠稀は机を寄せて寝る場所を作り出す。 「あ、そうだわ。あなた名前は?」 今まで聞かなかったが、名前を知らないと少し困る。 少女は少し困ったように笑いながら、首を傾げた。 「私の名前は……遙(よう)といいます」 そう言うと、遙は徹斗と悠稀に手を差し出して握手する。
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