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遙の泊まる場所など、いろいろな説明が終わって、悠稀と徹斗は2階の部屋でくつろいでいた。
「なぁ、悠稀」
「ん?」
ソファーにもたれ掛かっていた徹斗は、顔を向ける事なく悠稀を呼ぶ。
ベットで寝転がる悠稀も、徹斗の方に顔を向ける気配はない。
「彼女、大丈夫か?」
徹斗が言っているのは、遙の事だろう。
「そうね、多分大丈夫じゃない?」
遙という名前は、多分偽名だと思うのだ。
ただの勘といえばいいのだろうか、少し困ったような笑みが気になった。
「まぁ、偽名なら偽名でいいんじゃないかしら」
言いたくないのなら、言わなくても。
何も聞かないから、何も答えないつもりなのだが。
「そういうのは、人の自由でしょ?」
悠稀の言葉に、徹斗は小さく首を捻る。
「確かに自由だ。でも、やっぱり偽名は怪しいって」
「なんか理由があるんでしょう。放っておきなさい」
やっと、悠稀は手に持っていた雑誌から徹斗の方に目を向ける。
「何?そんなにあの子の事が気になる?」
「違う。もし厄介な事だったら、悠稀が大変だろう」
あくまで、自分は悠稀の心配をしているだけだ。
徹斗の言葉がそう聞こえて、悠稀は笑う。
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