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次の日、朝早くから悠稀は柑奈に起こされた。
「悠稀ちゃん、お友達よ」
えらくにこにこしている柑奈に首を傾げながら、悠稀はとりあえず下に降りる。
そして玄関にいる人を見て、悠稀は目を見開く。
「……おはよう、悠稀」
そこにいたのは、悠紫だった。
「何しに来たの?」
冷たい言葉にも、悠紫はめげる事なく悠稀を見る。
「昨日、謝れなかったから」
謝りにきたのだろう。
だが、そう言われても悠稀の表情は変わらない。
「悪かった、置いていって」
悠紫は頭を下げながら、悠稀に深々と謝る。
「……もう、いいから」
小さくため息をつくと、悠稀はそっと悠紫の頭に手を置く。
「こんなに謝られたら、嫌でも許すわよ」
呆れたように笑み。
それでも、悠稀は悠紫を許してくれた。
悠稀は、優し過ぎるのだ。
どれだけ酷い事をされても、悠稀は最後には許す。
だから、誰も離れる事なく側にいるのだ。
「ありがとう、悠稀」
笑みを浮かべて、悠紫は悠稀に手を伸ばす。
その手が悠稀に触れる直前。
「悠稀さん。……に、悠紫?」
ふと、リビングから聞こえてきた声に手が止まる。
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