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そんな悠稀を見て、徹斗が堪えられる訳がない。
悠稀はずっと徹斗を信頼してくれているが、やはり徹斗も年頃の男子な訳で。
「なぁ、悠稀。無防備過ぎるんだよ」
そっと悠稀を俯せから仰向けにさせるが、全く起きる気配がない。
それが好都合なのだが、止めるものがないと暴走しそうだ。
「……悠稀」
至近距離で話し掛けると、悠稀の表情が少し歪む。
起きるのだろうか。
そう思って体を引くが、悠稀が起きる気配はない。
「そっちが悪いからな」
すっと顔を近付けると、悠稀の唇に触れるだけのキスをする。
すぐに顔を離して、徹斗は真っ赤になった。
いまさら、自分がやった事に照れているのか真っ赤な顔のまま悠稀の部屋を出る。
一人で公園に行くと、ほっと一息ついた。
「……何してんだ、俺」
徹斗は俯いて後悔している。
確かに悠稀は綺麗になった。
それを見続けてきて、自分の気持ちがたまに制御出来なくなってきているのも、分かる。
だからって、寝ている悠稀にキスをするなんて。
「最悪だ」
寝込みを襲うような真似をするなんて、自分は最悪だ。
悠稀が寝ていてくれて、本当によかった。
あんな姿を見られていたら、自分は本当に悠稀の側にいられない。
もうしない。そう心に誓おう。
そうでもしないと、悠稀と気まずくなるから。
彼女が気付いていなくても、自分が気まずい。
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