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次の日の朝、羽都は悠紫の家を後にした。
向かう場所は、自分の家。
悠紫に会う事が出来たのだから、もう家出する理由がないからだ。
悠紫は羽都を見送った後、制服に着替えて家を出る。
悠稀に許してもらえたし、羽都を見つける事も出来た。
だから今日は、いつもより軽い足どりだ。
ふと、目の前に見知った背中がある。
「立花?」
ちょうどよかった。彼女には、自分の思いを話しておかなくては。
前に羽都を選ぶと言ってしまったから。
「あぁ、矢神先輩。おはようございます」
軽い挨拶を交わすと、すぐ悠紫は本題に入る。
「立花、俺は悠稀が好きだ」
「……は?」
いきなり何を言い出すんだこいつ。
立花の目は、そんな冷たい目をしていた。
「立花には、俺が悠稀を好きな事を知っていてほしかった」
「大樹先輩の妹さんは?」
そう聞かれて、少し答えに困る。
ありのまま話していいのだろうか。
だが、考えていても仕方ないので全て話した。
すると案の定、紘子の表情がみるみる険しくなっていく。
「悠稀を羽都さんの代わりにするの?」
確かに、話しを聞いただけではそう思う。
羽都は自分を忘れるために会いに来た。
そして自分は、それを知った次の日には悠稀を好きだと言っている。
どう考えてもおかしいだろう。
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