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目の前には、先客がいたのだ。 「悠稀~!」 1番最初に悠稀達に気付いた徹斗は、走って悠稀を抱きしめる。 「徹、来てたの?」 赤くなった顔を隠すように徹斗の胸にもたれ掛かり、悠稀は問い掛けた。 またいつもと違う反応に少し戸惑いながら、徹斗は笑う。 「話し聞こえてきたから、みんな誘ってきたんだ」 よく見れば、悠紫も大樹もいる。 全員の視線が悠稀と徹斗に向かっているのに気付き、ますます悠稀の頬は赤くなった。 「徹、いつまで抱き着いてるの?」 「ん?もうちょっと」 いつもと反応が違う悠稀、いつもより甘えん坊な徹斗。 二人とも、微妙な変化には気付いているようだ。 だが、何も言わない。 人の心が変わりやすい事を、身をもっと知っているから。 「早く遊びましょうよ、悠稀」 見兼ねた紘子が声をかければ、徹斗はあっさりと悠稀を解放する。 「そうね」 悠稀も何もないように振る舞うが、一度意識してしまったら前のようにはいかない。 幼なじみで、今まで一度も意識した事なんてなかったのになぁ。 首を傾げても答えなんてでないから、悠稀は考える事をやめる。 そのまま走って紘子達の元へ行くと、騒ぎながら遊び始めた。
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