2034人が本棚に入れています
本棚に追加
悠稀が小さい時から、斎は異常なほど悠稀を可愛がっていた。
自分以外の男が近付かないようにと。
まだ小さかった悠稀は、そんな斎に懐いていた。
それがますます、斎の異常なほどの愛情を増やす原因になっていたらしい。
だが、やはり年齢を重ねるごとに悠稀は斎を欝陶しいと思うようになり、あまり関わらないようになる。
「悠稀、ご飯をこっちで食べよう」
「いらないわ」
いつも冷たく接する悠稀にもめげない斎。
それが、欝陶しかった。
「母さん、父さんが煩いの」
「仕方ないわ、あの人はあなたを溺愛してるから」
柑奈は、そんな悠稀の愚痴に軽く返す。
悠稀が中学の頃には、斎は気持ち悪いくらい男に近付かせなかった。
それでも、悠稀にはもともと男友達がいたのだ。
それが徹斗。
幼なじみで仲がいい二人。
柑奈は斎に知られたら危ないと思い、徹斗の存在を隠していた。
悠稀は悠稀で、柑奈の行動の意味をちゃんと分かっている。
だから徹斗は、ずっと一緒にいても悠稀の家を知らなかったのだ。
それでも、成長していくうちに気になり出した悠稀の事を、もっと知りたいと思うようになり。
「俺、悠稀ん家行きたい」
その言葉が、全ての始まりだったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!