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悠稀が小さい時から、斎は異常なほど悠稀を可愛がっていた。 自分以外の男が近付かないようにと。 まだ小さかった悠稀は、そんな斎に懐いていた。 それがますます、斎の異常なほどの愛情を増やす原因になっていたらしい。 だが、やはり年齢を重ねるごとに悠稀は斎を欝陶しいと思うようになり、あまり関わらないようになる。 「悠稀、ご飯をこっちで食べよう」 「いらないわ」 いつも冷たく接する悠稀にもめげない斎。 それが、欝陶しかった。 「母さん、父さんが煩いの」 「仕方ないわ、あの人はあなたを溺愛してるから」 柑奈は、そんな悠稀の愚痴に軽く返す。 悠稀が中学の頃には、斎は気持ち悪いくらい男に近付かせなかった。 それでも、悠稀にはもともと男友達がいたのだ。 それが徹斗。 幼なじみで仲がいい二人。 柑奈は斎に知られたら危ないと思い、徹斗の存在を隠していた。 悠稀は悠稀で、柑奈の行動の意味をちゃんと分かっている。 だから徹斗は、ずっと一緒にいても悠稀の家を知らなかったのだ。 それでも、成長していくうちに気になり出した悠稀の事を、もっと知りたいと思うようになり。 「俺、悠稀ん家行きたい」 その言葉が、全ての始まりだったのだ。
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