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鈍い音が、隣から響く。
ふらりと傾いた徹斗の体と、舞う赤い液体。
何が起こったのか、悠稀には分からない。
ただ分かったのは、倒れている徹斗に馬乗りになっているのが斎だという事。
「きゃあぁ!」
柑奈の悲鳴、斎の怒声。
そして聞こえる、徹斗の唸り声。
頭が徐々にはっきりしてきて、今の状態がわかるようになってきた。
斎のすぐ側には、血のついた金属バット。
倒れている徹斗の頭からは血が流れ、柑奈は必死で斎を止めている。
理解すると同時に、悠稀の目が見開かれた。
「いやぁあ!」
叫び声をあげて、悠稀は徹斗に縋り付く。
「邪魔だ!」
斎が悠稀を払い退けようとしても動かず、泣き叫ぶ。
どん、と思いきり退けられて、悠稀はただ泣きながら殴られている徹斗を眺める事しかできない。
それから、近くの人が悠稀達の叫び声に驚いて呼んだ警察によって、斎は捕まった。
そのあとすぐ、徹斗は病院に運ばれる。
金属バットで殴られた傷は、思っていたのよりもずっと深かったからだ。
病院のベットで眠る徹斗を見て、悠稀は決めた。
もう、絶対に彼を傷付けないと。
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