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「ただいま」
悠稀はそう言って、ローファーを脱ぐ。
「お帰りなさい、悠稀」
悠稀の声を聞いて、ふわふわの髪の毛を揺らしながら小走りで走ってきた女性。
「ただいま、母さん」
その女性は、悠稀の母親の柑奈(かんな)だ。
「あら、今日は悠紫君居ないの?てっきり居ると思って、ご飯多めに作っちゃったのに」
困ったわねぇ。と、まるで困っていない口調で言う。
頬に手をあててため息をつく彼女は、元女優だ。
悠稀のあの美貌も、この柑奈譲りなのだ。
「なら、徹斗(てつと)でも誘おうか?徹なら、簡単に来てくれると思うし」
悠稀の提案に、柑奈はお願い出来るかしら?と微笑んだ。
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